CursorのComposer 2、実は中国製モデルが基盤だった

AIコーディングツールとして急成長を遂げているCursorが、今週リリースした新モデル「Composer 2」をめぐって物議を醸している。同社は当初、Composer 2を「フロンティアレベルのコーディング知性」と謳って発表したが、実際には中国企業Moonshot AIのオープンソースモデル「Kimi 2.5」を基盤として構築されていたことが明らかになった。

X(旧Twitter)のユーザーが暴露

きっかけはX上のユーザー「Fynn」による指摘だった。Fynnは、Composer 2が「追加の強化学習を施しただけのKimi 2.5にすぎない」と主張し、モデルIDにKimiを示すコードが含まれている証拠を提示した。「せめてモデルIDを変名しろよ」と皮肉も込めてポストしたこの指摘は、瞬く間にテック界隈で拡散した。

Moonshot AIはアリババとHongShan(旧Sequoia China)が出資する中国企業であり、そのモデルを米国スタートアップが流用していたという事実は少なからぬ注目を集めた。

Cursorは認めつつも「大部分は独自トレーニング」と主張

これに対し、CursorのVP(開発者教育担当)であるLee Robinsonは「そうです、Composer 2はオープンソースのベースモデルからスタートしました」と認めた。ただし、「最終モデルの計算リソースのうち、ベースモデルに使ったのは約4分の1にすぎず、残りは独自トレーニングに費やした」と説明し、各種ベンチマークでのComposer 2の性能はKimi 2.5と「大きく異なる」と強調した。

また、Kimi公式アカウントもX上でCursorを祝福する投稿を行い、今回の利用がFireworks AI経由の「認定商業パートナーシップ」に基づくものだと説明した。「Kimi-k2.5が基盤を提供できたことを誇りに思う」とも述べ、ライセンス上の問題はないとしている。

なぜ最初から開示しなかったのか

問題となるのは、Cursorが発表時にKimiとの関係を一切開示しなかった点だ。Cursorは昨秋に23億ドルの資金調達ラウンドを完了し、企業評価額は293億ドル(約4.4兆円)に達する。また年間収益換算で20億ドル超を達成したとも報じられており、そのような資金力を持つ企業がモデルをゼロから作らなかったことへの批判だけでなく、中国製モデルを基盤としたことへの政治的センシティビティも背景にある。

米中間でAI開発の「主導権争い」が激化する中、DeepSeekの躍進が昨年シリコンバレーに衝撃を与えたことは記憶に新しい。中国製モデルの採用を公表することへのためらいが、今回の情報開示の遅れにつながったとの見方もある。

共同創業者のAman Sangerも「最初のブログ記事でKimiのベースモデルに言及しなかったのは失敗だった。次のモデルでは修正する」と率直に認めた。

オープンソースエコシステムの現実

今回の件は、AIモデル開発においてオープンソースの活用が一般的になってきていることを改めて示している。商用製品がオープンソースのベースモデルを活用すること自体は珍しくないが、その出所を適切に開示することが信頼構築の観点から不可欠であることも浮き彫りとなった。日本でも多くのAIサービスが同様の構造を持つ可能性があり、モデルの出自に対する透明性への関心が今後さらに高まりそうだ。


元記事: Cursor admits its new coding model was built on top of Moonshot AI’s Kimi