エレコムの「安全」ナトリウムイオンバッテリ、機内持ち込み全面禁止に——規制改訂で購入済み製品も対象
PC Watch(2026年4月28日付)の報道によると、エレコムが「世界初のナトリウムイオンモバイルバッテリ」として販売していた製品群が、国土交通省の規則改訂を受けて航空機への持ち込み・預け入れともに全面禁止となった。エレコムは公式サイトにお詫びと注意喚起を掲載している。 ナトリウムイオンバッテリとは——「安全」が売りだったはず エレコムは2025年3月、一般向けの「世界初ナトリウムイオンモバイルバッテリ」を発売した。従来のリチウムイオン電池と比較した主な特徴は以下の通り。 難燃性・発火リスクの低さ: 釘を刺しても発火しにくい構造 長寿命: 5,000回の充放電サイクルを実現(リチウムイオンの一般的な製品は500〜1,000回程度) 環境負荷の低さ: レアメタル(コバルト・ニッケル等)を使用しない これらの特長から、エレコムはパッケージおよびWebサイトに「機内持ち込み可能」と明記して販売していた。 なぜ禁止になったのか——規制改訂の経緯 国土交通省は2026年4月24日、「機内への持込み又はお預け手荷物に制限がある品目の代表例」を更新。この改訂により、ナトリウムイオン電池が航空機への持ち込みおよび預かり入れの両方が不可として明記された。 エレコムはこの行政ルール変更を受けてお詫びを掲載。Webサイトの表記を順次修正するとともに、市場流通中の製品パッケージについても順次改訂するとしている。ただし、切り替え期間中は「機内持ち込み可」と表記された旧パッケージが流通し続けるため、購入済みの方は特に注意が必要だ。 保安検査時に対象製品が発見された場合、破棄または没収の可能性があるとエレコムは明記している。 対象製品一覧 今回の規制対象となるエレコム製品は以下の通り。 ナトリウムイオン電池モバイルバッテリー DE-C55L-9000BK DE-C55L-9000LGY EC-C27LBK ナトリウムイオン電池搭載 ハンディファン 冷却プレート付き FAN-U264BE / FAN-U264GN / FAN-U264WH ナトリウムイオン電池搭載 コンパクトハンディファン FAN-U265BK / FAN-U265GN / FAN-U265WH 日本市場での注目点 「安全だから機内に持ち込める」という前提が崩れたことは、今夏の旅行・出張シーズンを前に日本の消費者が把握しておくべき情報だ。 エレコムのナトリウムイオンバッテリ製品はAmazon.co.jpや家電量販店で「長寿命・安全」というセールスポイントで販売されており、旅行用途を意識して購入したユーザーも少なくないと思われる。購入済みの方は今後の航空機利用において持ち込み不可となる点に留意が必要だ。 なお、既存のリチウムイオンモバイルバッテリの機内持ち込みルール(100Wh以下なら原則持ち込み可)に変更はない。ナトリウムイオン製品のみが新たに規制対象となった点を改めて確認しておきたい。 筆者の見解 今回の件は、技術の革新と規制の整合性というテーマを浮き彫りにしている。 エレコムのナトリウムイオンバッテリが「発火しにくい」という特性を持つことは技術的な事実だ。にもかかわらず規制の網がかかったのは、安全性の検証・認証体制が電池技術の進化スピードに追いついていない構造的な問題を示している。国際航空規制は原則として実績ある技術を前提に設計されており、新技術は安全性が広く証明されるまで「グレーゾーン」か「禁止」に分類されやすい。これは技術側の問題というより、制度設計の問題だ。 気になるのは、「安全性が高い」という訴求が主要な購買動機になっていた点だ。旅行・出張ユーザーが「機内に持ち込める安全なバッテリ」として選んでいたとすれば、今回の禁止措置は製品価値の大部分を失わせることになる。旧パッケージが市場に残り続ける切り替え期間中の混乱も避けられず、エレコムにとっても痛手は大きい。 一方で、ナトリウムイオン電池が有望な技術であることは変わらない。正面から航空安全の認証プロセスに取り組み、規制当局と連携して「機内持ち込み可」という価値を取り戻す道を期待したい。禁止で終わらせるのではなく、安全に使える仕組みを整える——それが技術者としても消費者としても望ましい着地点だろう。 すでに購入済みの方は、出発前に必ずバッグの中身を確認してほしい。 関連製品リンク エレコム モバイルバッテリー 9000mAh 45W ナトリウムイオン電池 ブラック EC-C27LBK エレコム モバイルバッテリー DE-C55L-9000BK 9000mAh 45W ナトリウムイオン電池 ...